「はち屋」の由来
店主が幼い頃、数年間共に暮らしていた祖母は、魔法の手を持つ人でした。見た目は地味だけれどどれも目を見張るほど美味しいおかずが食卓に並んだ景色は今でも忘れられません。残念ながら祖母は数年後この世を去りましたが、今でも私にとっての目指すべき憧れの人で、あんなご飯をつくりたい、といつも追いかけている気がします。
その祖母との思い出の土地が「八屋」という小さな町でした。私の原点はそこにある、という気持ちを込めてHachiya(はち屋)と名付けました。
私自身は、歌ったり踊ったり、珈琲を淹れたり和食屋さんで働いたりとフラフラ生きてきて、このスイスに越してからの十数年は三人の子供のお母ちゃんとしてせっせとご飯をこしらえる毎日。ワンオペの日々、時には疲れ果てて、立派なごちそうじゃなくていいから人の作った普通のご飯やお惣菜が食べたいんだよなあ、と日本にいた頃の食卓に恋い焦がれていました。
そしてふと、もしかしたら私と同じような方がいるかもしれない、日本と同じ食材は揃わないけれど、この土地にあるものでもホッとするようなおかずをお届けできれば喜んでくださる方がいるかもしれない、そう思ってこの仕事を始めました。
たった一人の気ままな店です。色々と行き届かない点もあるでしょうが、どうぞよろしくおねがいします。
はち屋 店主